2025年6月、LINEヤフー株式会社より発表された「2025年3月期の期末配当金に関する通知」では、通常の配当とは異なる税務対応が必要となる旨が案内されました。本記事では、その内容を分かりやすく解説し、確定申告に必要な情報や記載例を紹介します。
配当金の概要
- 支払開始日:2025年6月5日
- 1株あたり配当金:7円
- うち 5.56円:利益剰余金(通常の配当)
- うち 1.44円:その他資本剰余金(資本の払戻し)
この「その他資本剰余金」からの配当が、税務上「資本の払戻し」と見なされ、特別な取り扱いになります。
税務上の取り扱いと注意点
1. みなし配当とみなし譲渡損益
- みなし配当(課税対象):6.4551円(源泉徴収済み)
- みなし配当以外(非課税):0.5449円 → 「みなし譲渡収入」として扱われる
この「みなし譲渡収入」から、調整された取得価額を差し引いた金額が「みなし譲渡損益」となり、確定申告が必要となる場合があります。
2. 確定申告が必要なケース
- 特定口座(源泉徴収あり)でも、自動計算されない場合が多いため、 原則として確定申告が必要 です。
- 特に「損失」が発生した場合でも、他の譲渡益との損益通算が可能なため、申告する価値があります。
3. 取得価額の調整
- 今回の資本払戻しにより、保有株式の取得価額を 0.6%(=0.006)減額 する必要があります。
- 例:取得価額500円 → 調整後497円
- 特定口座の証券会社が対応する場合もありますが、念のため確認をおすすめします。
確定申告の記載例(みなし譲渡損失)
前提条件
項目 | 内容 |
---|---|
株数 | 100株 |
取得単価 | 500円 |
総配当額 | 700円(7円×100株) |
みなし配当 | 645.51円 |
みなし譲渡収入 | 54円 |
減額取得価額 | 300円(50000円×0.006) |
譲渡損益 | −246円 |
内訳書への記載
- 株式等の種類:LINEヤフー株式(資本の払戻し)
- 譲渡収入金額:54円
- 取得費:300円
- 譲渡損益:−246円(損失)
よくある質問(FAQ)
Q1. 確定申告しないとどうなる?
A. 税法上の義務がある場合、未申告はペナルティの対象となることも。特に損失が出ている場合、申告することで税金が還付される可能性もあります。
Q2. 特定口座なら何もしなくて良い?
A. 証券会社によっては自動対応していないため、自分で確認が必要です。
Q3. 繰越控除はできる?
A. 譲渡損失は、他の上場株式等の譲渡益との通算や、3年間の繰越控除が可能です(要申告)。
お問い合わせ・確認先
- 証券会社:取得価額調整、特定口座での対応可否の確認
- 税務署/税理士:確定申告の要否や具体的な記載方法
まとめ
LINEヤフーの今回の配当は、通常とは異なる「資本の払戻し」が含まれており、税務対応が必要なケースがあります。特に譲渡損失が発生している可能性があるため、確定申告により損益通算や繰越控除を活用することが重要です。
今後の株式売却に影響する取得価額の証明にもなりますので、本通知書は必ず保管し、必要に応じて専門家にご相談ください。
🔗 関連リンク
- 国税庁|資本の払戻しの取扱い:https://www.nta.go.jp/
- LINEヤフー IR情報:https://www.lycorp.co.jp/ja/ir/